ふわふわな生地に優しい甘味のあんこがたっぷりと包まれた「どら焼き」、焼き目のついた柔らかいお団子に甘辛い醤油だれが絡んだ「みたらし団子」、季節の彩りを日本伝統の職人技で繊細に作り上げる「上生菓子」。
スイーツ好きならば、日本ならではの美味しくて美しいお菓子に囲まれた和菓子屋で働くことは楽しそうで魅力的です。でも、いざバイトを始めようと思っても、「どんなことをするんだろう?」「和菓子屋のバイトはきつい、と聞いたことがあるけど大丈夫かな?」と不安になることも多いでしょう。
そこで、和菓子屋バイトの仕事や評判を徹底的に調査していきます!
和菓子屋バイトってどんな仕事?
和菓子屋バイトの仕事は、販売と製造の2種類に分かれます。今回は和菓子の販売に注目していきます。
和菓子の販売
店舗で和菓子の販売を行います。主な仕事は、商品説明、商品の梱包、レジ打ち、商品の補充になります。贈答用であれば、熨斗に筆ペンで名前を書いたり、配送の手続きがあります。
和菓子の製造
製造工場や店舗で和菓子の製造を行いますが、アルバイトは簡単な作業の担当になることが多いです。製造工場であれば餡子詰めをしたり、店舗であれば製菓材料の補充をしたり、調理器具や容器の洗浄や片付けなどを任されます。
お店はどんなところにあるの?
和菓子店は商店街の中や駅ビルの中など、いろいろな所で出店をしています。場所によって客層が変わり、求められる役割も異なってきます。
路面店
老舗の和菓子店や個人経営のお店になります。地元で長く愛されているお店で、こじんまりとしたアットホームなお店も多いです。昔からの顔なじみのお客様が多く、会話力やコミュニケーション力が必要になります。路面店は、店内に飲食スペースがある場合も多いので、お茶を運んだり注文を受けるホールスタッフのような仕事が加わることもあります。
デパ地下
デパートの食品フロアに入るのは有名和菓子店が多いです。デパートの立地によっては、上品で丁寧な接客マナーを求められます。ご進物用の商品を買いにご来店されるお客様が多いので、商品知識に詳しく、冠婚葬祭マナーや熨斗の種類についても熟知していなければなりません。
駅ビル・空港
有名和菓子店や地方のご当地和菓子店が駅ビルや空港に出店しています。出発前にお土産用の和菓子を買い求めるお客様が多数なので、短時間で早く梱包して会計処理をできる迅速さが必要となってきます。客数も一番多いのが駅ビル・空港になります。また、外国人観光客の利用も多いので、簡単な英会話など語学力が求められる場面があります。
和菓子屋バイトの口コミ・評判
では、実際に和菓子屋でバイトをしたことがある経験者の口コミを見てみましょう。
良かったこと
近所にあった和菓子屋さんで、そこの「水ようかん」の大ファンで店主もよく知っていたのでここで働いてみたいと思って応募しました。私と同じようにここのお店の和菓子が好きでよく買いに来てくれるお年寄りの方が何人かいて、だんだん顔を覚えてもらって、私のおすすめする商品を選んでくれたり、10分くらい雑談したりして接客がとても楽しかったです。アジア系のお客さんが来た時はなぜかカメラで写真を撮ってくれて、後日その写真をプレゼントしてくれるサプライズもあって、お客様とのコミュニケーションが思い出深いです。
シフトは平日の昼間から夕方まで40代・50代の主婦が入って、平日の夜や休日は女子大生や女子高生の子が入っていて女性ばかりのお店でした。女性だらけの職場だといじめとか仲間外れとかがあって面倒くさいのかもと最初は不安でしたが、明るいリーダーを筆頭にみんながよく働いて仕事が早い人ばかりでした。お客さんがいないときは雑談して笑いあったり、仕事のない日にみんなで集まってボーリングに行ったりして仲良くしていました。
どの和菓子を買おうか迷っていたお客様に、それぞれのお菓子の意味や由来を説明しながら、お客様が気に入りそうな商品を何点かおすすめしたらそれを全部買っていただきました。お客様が「すごく勉強になったわ!また来るわね!」と、笑顔で帰っていかれたときに達成感を感じました。
耳の聞こえないお客様がいらして手に取って商品を見ていたので、ジェスチャーで商品説明をしたことがあります。気持ちが伝わったのかその商品を買ってくださいました。自分が一生懸命おすすめして買ってもらえると本当に嬉しいです。
季節ごとに上生菓子を職人さんが作ってくれるので、その都度商品説明ができるように試食をさせてもらっていたのが楽しみでした。その商品の意味や職人さんが力を入れたポイント
を教えてもらうと余計に愛着が沸いてくるのでお客様への説明にも熱が入っていきます。
学生時代に茶道部に入部していてよく和菓子を食べていたので親近感がありました。働いてみると、和菓子にはそれぞれいろいろな意味が込められていてとても勉強になりました。帰りに売れ残ってしまった和菓子をもらえるのがすごく嬉しかったです。家族にも喜ばれていました。
銀座にある高級デパートに入っていた老舗の和菓子屋で勤務していました。いらっしゃるお客様には富裕層や上品な方が多くて言葉遣いと接客マナーは特に気をつけていました。茶道をたしなんでいて和菓子についても知識があるお客様もいらっしゃるので、和菓子の商品知識や日本文化については自分でも勉強したりお客様から教えていただくこともありました。自分のレベルアップに繋がりました。
和菓子が大好きでどら焼きやお団子を家で作っていました。勉強のためにバイトをしてみました。新商品の発売前には必ず試食をさせてもらえたのでとても参考になりました。職人さんが作る和菓子は本当に美味しくて最高でした。
着物が好きなので、仕事で着物が着られるのが嬉しかったです。
悪かったこと
年末年始や雛祭り・こどもの日などの年中行事のときには忙しいのですが、それ以外は閑散としていて、暇をもてあましているときはつらかったです。繁忙期と閑散期の落差が激しいです。
近所にある昔ながらの家庭的なお店で店主も優しくて環境はよかったですが、不器用だったので贈り物用の大きな箱に入った商品を包装するのが苦手で下手くそでした。お客さんにもクレームをいわれました。
和菓子について詳しいお客様がいて、ご来店の度たぶん知っているくせにわざと難しい質問をしてきて、答えられなくて黙ってしまうと「勉強不足ね。」と捨て台詞を言われるのがきつかったです。
基本的に立ち仕事なのですが、商品ケースから和菓子を取り出すときは低くなってかがむので腰痛になりやすかったです。
ひとつひとつの商品についても、詰め合わせのときは組み合わせる内容も覚えないといけないといけないし、季節ごとに商品がかわるので覚えないといけないことが多すぎて本当に大変でした。
和菓子は柔らかくて、雑に扱うとすぐ傷がついてしまうので、丁寧に集中して商品を扱わないといけないところが大変でした。ちょっとでも傷をつけたり形が崩れてしまうと廃棄になってしまいそのたびに社員さんに叱られるのがつらかったです。
お店は餡子の甘い匂いが一日中しているので、体調が悪いときはその匂いが本当につらかったです。
1日立ちっぱなしの仕事なので、足のむくみがつらかったです。
バイト先はプリンターが無くて、私は字が汚いので熨斗に手書きで書かなければいけなかったのが本当に嫌でした。字がきれいな人がうらやましいです。
【まとめ】和菓子屋バイトはきついってホント?
和菓子屋バイトは、デリケートで柔らかい商品を箱詰めしたり、熨斗に名前を書いたりと、手先の器用さが求められるので、細かい作業が苦手だと最初のうちは苦労をするかもしれません。
冠婚葬祭マナーの知識が必要ですし、職人が作りあげる花鳥風月を表現した上生菓子や年中行事で食べられる和菓子についてお客様から質問されることもあるので商品知識も学ばなければいけません。年配のお客様が多いので敬語の使い方にも気を配らないといけないので、高度な接客スキルを求められます。体力面では、立ち仕事のために足腰が疲れることがあります。
ですが、仕事で得た冠婚葬祭マナーは一生を通じて役に立ちますし、和菓子を通して日本の歴史や文化を学ぶことで日本の素晴らしさを再認識できます。接客から人間的な成長ができるのでコミュニケーションスキルもあがります。また、商品説明をするために美味しい和菓子が試食できる「和菓子屋ならでは」の魅力もあります。
和菓子が好きで日本文化が好き、そして人と話すのが好きな人にはぜひおすすめしたい仕事です。