本記事では、薬剤師のパートの掛け持ちを始めたいという方に確認すべき注意点や、
副業やダブルワークのメリットのみではなくデメリット、掛け持ちを始める際の注意点
をご紹介します。
薬剤師のパートの掛け持ちは可能なの?
薬剤師のパートの掛け持ちは基本的に可能ですが、職種によっては法律で禁止とされているケースもあるので確認が必要です。
禁止とされているケースは大きく分けて2点です。
- 管理薬剤師または公務員薬剤師である場合
- 職場の就業規則で禁止されている場合
禁止とされている理由を詳しく解説していきましょう。
管理薬剤師と公務員薬剤師のパートの掛け持ちは禁止
管理薬剤師は、薬機法第7条3項によって法律で兼業が禁止とされています。
薬機法第7条3項「薬局の管理者(第一項の規定により薬局を実地に管理する薬局開設者を含む。次条第一項において同じ。)は、その薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならない。ただし、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。」
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第7条)
とされている為、勤務先以外の薬局で薬剤師として働くことはできません。
ただし、一定の条件を満たせば薬事に関わらない副業であれば可能ともされています。
一定の条件とは、都道府県知事の許可を受けており、下記の例に該当する場合。
- 非常勤の学校薬剤師を兼ねる場合等
- 薬局の営業時間外となる夜間休日に、当該薬局の管理者がその薬局以外の場所で
地域の輪番制の調剤業務に従事する場合 - へき地における薬局の管理者の確保が困難であると認められる場合において、当該地域に所在する薬局の営業時間外に、当該薬局の管理者がほかの薬局に勤務する場合
(出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 薬事法の施行について)
これらが該当していれば、副業は可能とされています。
主に、不動産家賃業や不動産投資や株式投資などであれば問題ないといえるでしょう。
次に、公務員薬剤師は国家公務員法第103条と地方公務員法第38条によって兼業が禁止とされています。
国家公務員法第103条「職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない」
(出典:国家公務員法 第百三条)
地方公務員法第38条「職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規制で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」
(出典:地方公務員法 三十八条)
これらの立場である管理薬剤師と公務員薬剤師が無許可で掛け持ちをした場合は、懲戒処分など罰せられる可能性があるので、要注意です。
職場での就業規則で禁止されている場合
どの職種でも基本的に職場の就業規則で副業や掛け持ちが禁止されている場合、掛け持ちをして働くことはできません。
禁止されているのにも関わらず、掛け持ちをして働いてしまった場合は懲戒などの処罰の対象となります。
掛け持ちを考えているのであれば、しっかりと勤務先へ確認をしてから始めることをおすすめします。
薬剤師がパートを掛け持ちすることのメリット・デメリット
薬剤師がパートを掛け持ちすることにはメリットもありますが、デメリットもあります。
実際にどのようなメリットがあるのか、またデメリットがあるのかご紹介していきます。
掛け持ちをするメリット
掛け持ちをするメリットは主に2つあります。
スキルアップ
薬剤師のパートは、病院や調剤薬局、ドラッグストアなど採用される場所は多岐にわたります。
その為、掛け持ちをすることで一つの職場にとどまらず様々な職場環境を経験することで、
新たな知識を身に付けスキルアップが図れます。
常に成長を感じたい人や向上心がある方にはおすすめです。
また、ライフステージが変わったりなどで一度職を離れてしまうことがあっても、様々な知識を身に付けていれば再就職の際などに活かすこともできるでしょう。
収入アップ
薬剤師のパートの時給は比較的高いですが、その反面昇給することがほとんどないといわれています。
その為、本業のみで手取りの収入を上げたいとなると昇格する為の努力と時間がかかります。
調剤薬局やドラッグストアでの平均時給が、地域によって差はありますが約2,000円〜3,000円と高時給である為、それらで掛け持ちをすれば収入アップに繋がります。
また、パートであれば勤務日や勤務時間の選択は自由であり自身で調整が可能な為、一方が中々シフトが入れず稼げない、という場合でももう一方で補うことが可能となります。
掛け持ちをするデメリット
掛け持ちをするデメリットは主に2つあります。
プライベートの時間の確保が難しくなる
掛け持ちをするということは、労働時間が長くなる為プライベートの時間が減ってしまう可能性があります。
自身で調整が可能なパートでもある為バランス良くシフトを入れるなど、上手く調整ができれば問題はなさそうですが、そうなると仕事は一つに絞った方が良いのではないか、収入アップが見込めない、などの理由から掛け持ちをする意味がなく感じてしまい、プライベートの時間を減らしてでも働こうと意気込んでしまいがちです。
無理をしてしまうと心身ともに疲弊してしまい、労働が困難な状況に陥ってしまう可能性があるので注意が必要です。
扶養に入っている場合は注意
扶養の範囲内で働きたい場合、収入額の調整が必要となります。
一般的に103万円の壁を超えると納税の義務が課せられてしまうので、注意が必要です。
掛け持ちを始める際の注意点
掛け持ちを始める前に、今一度確認すべき注意点を見ていきましょう。
無理なく働けるかどうか
掛け持ちをするということは、労働時間が長くなりプライベートの時間が減ります。
心身への負担が大きくなり、疲労が蓄積されると身体を壊すことにも繋がるでしょう。
仕事とプライベートをバランス良く保つ働き方をおすすめします。
掛け持ちをしたい目的の明確化
やみくもに掛け持ちをするのではなく、なぜ掛け持ちをしたいのか自身の中で明確化することが大切です。
目的が収入アップならば、月にいくらぐらいプラスになれば良いのか、決まった期間内で臨時収入が欲しいだけなのかなどを明確にしましょう。
また、スキルアップが目的ならばどのようなスキルをいつまでに身に付けたいのかなどを明確にしましょう。
薬剤師の資格を活かせるおすすめの職種や業種とは?
薬剤師の資格を活かせる職種や業種は多くあります。
掛け持ちに向いている職種や業種をここでは3つおすすめします。
調剤薬局
調剤薬局は一般的に4〜8時間程度のシフト制である為、時短で働くことができます。
土日など休日の空き時間を利用して勤務できる調剤薬局も多いので、ライフスタイルに合わせて掛け持ちすることが可能です。
また、調剤薬局の数は多いので職場や自宅から近い所で見つけやすいという点もメリットです。
ドラッグストア
ドラッグストアは24時間営業の店もある為、深夜や早朝などのスキマ時間にシフトを入れることが可能です。
また、人手不足になりがちな夜間帯は時給が高めに設定されていることがあるので、スキマ時間で働いても収入アップが狙えます。
メディカルライター
メディカルライターは在宅など場所を特定せずに副業をしたい方におすすめです。
薬剤師の専門的知識や経験を活かし、医療に関する情報を発信していくと稼ぎやすいです。
まとめ
ここまで、薬剤師のパートの掛け持ちについてご紹介してきました。
まず確認すべきは、自身が掛け持ちが可能な状況であるかです。
問題がなければ掛け持ちを始められますが、やみくもに始めるのではなくデメリットや無理のない働き方をしっかりと考えてから始めましょう。
心身の健康を保ちながら働くことが大切です。